食物繊維は、「食べ物のカス 」だと思っていました。
以前は、ずっとそういわれていました。
しかし、最近では研究が進み、健康維持に欠かせない重要な成分として認識されるようになりました。
大出世です。
現在では、便通の改善や、コレステロールの吸収抑制など、色々な作用がわかってきました。
栄養成分ではないにも関わらず「第6の栄養素」として重要視されるようになりました。
ちなみに、他の5つの栄養素は次の通りです。
3大栄養素
炭水化物(ごはん、パンなどエネルギー源になる食材)
タンパク質(肉、魚、豆類など筋肉、血液、臓器などの構成する主成分)
脂質(油、バターなど高エネルギーな食材)
これに、ビタミン、ミネラルを加えて5大栄養素といいます。
それくらい、重要性が認識されてきたということです。
◆食物繊維の役割
食物繊維は大きく2種類に分けられます。
水に溶ける「水溶性食物繊維」と
水に溶けない「不溶性食物繊維」です。
「水溶性食物繊維」は腸内で善玉菌を増やします。
血中コレステロールの低下や血糖値の改善にも一役買っています。
コンニャク、ワカメ、昆布などに多く含まれています。
「不溶性食物繊維」は便のかさを増して、便通を良くします。便秘解消に一役買っているのがこの食物繊維です。
穀類、セロリ、サツマイモ、ゴボウなどに多く含まれています。
・腸内環境の改善
腸内環境を改善するためには、腸内で良い働きをする細菌・善玉菌を増やす必要があります。
そして、酸性に維持する必要があります。
食物繊維は大腸の中で善玉菌の餌になり、増殖を助けます。善玉菌が増殖することで、乳酸や酢酸などを代謝して腸内を酸性に保つことができます。
・排便の促進・便秘の解消
便のかさを増し、腸の運動を促進します。これによって便意を刺激する働きがあります。
便の硬さを程よい硬さに調整して、排便をスムーズに行えるようにします。
・コレステロールの吸収抑制
腸管内でコレステロールと胆汁酸を吸着します。
そのまま、便として一緒に体から排泄されます。
このことで、血中コレステロールを低下する働きがあります。
・血糖値の急激な上昇抑制
食物繊維は胃の中で水分を含み膨らみます。
膨らむことで粘度が高くなって、ネバネバした状態になります。
この性質が、胃で分解・消化された食べ物を小腸へと押し出すスピードを緩やかにします。
ゆっくり食べ物を移動させることで、小腸で行われる糖の吸収が緩やかになって、血糖値の急激な上昇を抑えます。
そのことで、インスリンの分泌も穏やかになるので、糖尿病の予防にもなります。
こんなにいいことがある食物繊維ですが、食の欧米化によって、摂取量が減っています。
パンや肉、乳製品など欧米食には、食物繊維を含んだ食材を使ったものがあまりありません。
昔の日本食ならば穀類(米、麦、稗、粟など)食物繊維を豊富に含む主食を食べていました。
精白米ではなく玄米だったので、食物繊維がかなり摂取できていたはずです。
煮物も、サラダなど生野菜に比べると、少ない量でたくさんの繊維がとれる調理法です。
近頃では、『青汁』や『グリーンスムージー』など、
野菜によって食物繊維やビタミン、ミネラルを手軽にとる方法が盛んに取り入れられてきています。
それだけ、健康を維持するために必要な成分として、認識されているということです。
腸内の環境を整備するということは、脳の働きや免疫の働きにまで影響します。
いい食事は、いい体を作ります。
健康でいるためにも、体に良い食事、体に良い取り方を知っていくことも大切なのではないでしょうか?